雨と生きる。雨を活かす。雨の文化創造を考える。

 
presented by  株式会社タニタハウジングウェア
松尾絵美子
(まつお・えみこ)

 
岐阜県出身。2003年愛知学院大学国際文化学科卒。名古屋の地域工務店で10年間ブランディング・広報を担当し、企業と一般消費者を結ぶ情報整備と発信を行う。その後、パッシブソーラーシステムや全館冷暖房システムなどを供給するメーカーで営業企画・広報を担当し、メーカーとプロユーザーを結ぶ情報整備と発信を行う。同時に一般社団法人パッシブデザイン協議会の事務局を務め、現在はそれを事業の一部として引き継いだ一般社団法人Forward to 1985 energy lifeの事務局を務める。一貫して環境と共生する地域建築の普及を主とし、現在はそれらを理念として活動する地域工務店やメーカーの広報サポートを行う。

 タニタ製品レポート 
 

# 01

ガルバリウム雨とい
「HACO GH15号」

2020.06.27

 

2020年2月末、タニタハウジングウェア(以下タニタ)から新商品が発売された。商品名は、「ガルバリウム大型軒とい HACO-HIGH FRONT-GH15号(以下HACO GH15号)」。名前の通り、前面が高くなっている形状が特徴で、これまでリリースしてきたガルバリウム軒といの「HACO」シリーズの中で最も大きい排水能力を持つ大型タイプ。今回は、この「HACO 15号」についてレポートする。
 

ガルバリウム製雨といメーカー最大の排水能力

 
HACOシリーズには3種類の軒といがある。排水能力の高い順に「GH15号」「GH12号」「H6号」となり、順に軒とい本体のサイズも小さくなる。使用用途としては、「H6号」は主に住宅、「GH12号」と「GH15号」は非住宅といった使い分けだ。「H6号」と「GH12号」は“とい”の前と後ろの高さが同じなのに対して、 今回新しく発売された「GH15号」は前が後ろより28mm高く作られている。
 

軒といラインナップ:前面左上から「HACO GH15号」「GH12号」「H6号」「スタンダード半丸105」。後方は、左から「丸たてとい75Φ」「丸たてとい60Φ」。


 

「HACO GH15号」サンプル。前が高くなっているのがわかる。


前を高くした理由を、開発リーダーの飯島清一さんに伺った。
 

HACOシリーズではじめてのHigh Front

 

開発リーダーの飯島さん


もともとガルバリウムの軒といは住宅向けに作られたものがはじまりだった。箱型の「HACO」と、半丸型の「スタンダード」の2種を、デザインニーズに応じて使っていただいていた。しかし、次第に住宅向けのものが、 保育園や幼稚園など大屋根のといとして、採用されることが増えていった。
 
その際、「スタンダード」よりも排水能力が高い「HACO H6号」を大屋根につけ、加えて縦といを増やすことで対応していたが、意匠的に支障が生じることもあった。もっと排水能力の高いものが必要となり、大型軒といの「HACO GH12号」をリリースすることになる。
 
すると大型建物に採用されるようになっていった。ここでは さらに排水能力の高い軒といの要望が寄せられるようになり、「HACO GH15号」の開発に着手することになる。
 
それまで、タニタのガルバリウム雨といは、 前後の高さが同じだった。そのほうがすっきり見えるからだ。ところが、「HACO GH15号」を必要とする大型の倉庫や工場、商業施設などを手掛ける野丁場の方々からは、「大屋根を流れる雨水を受け止めきれないのではないか」と心配する声や、ガルバリウム以外の雨といでは主流の前側が高いタイプを使い慣れており安心という声が聞かれた。
 
市場調査を行ったところ、 設計事務所は「意匠的に前後同じ高さがよい」との意見が多く、逆に施工業者からは安心感から前側が高い方の要望が多かったという。
 
これらの声を反映し、「 HACO GH15号」は前側を高くすることになったのだが、「これまでのシンプルなスクエアデザインが良い」という設計事務所からの意見も反映し、 端部は前後が同じ高さに見える 「水止」 を用意した。そうすることで、前側が高い「HACO GH15号」と、前後の高さが同じ「HACO GH12号」を併用する場合でも、この水止で 全体の統一感を出すことができるといわけだ。
 

水止を装着したところ。


設計事務所からは「この端部の形状であれば、前側が高くても全く問題はないあ」と快く理解を得られたという。
 
設計事務所と施工業者、双方の意見をヒアリングして開発するところがタニタらしく、また双方が納得する形を追求しているところも手堅い。
 

吊り金物はポリカーボネート

 
「HACO GH15号」用の吊金具はポリカーボネートで作られていることも、特長のひとつだ。
 
住宅がメインの「 HACO H6号」の吊金具はステンレスだが、排水能力の高い「 HACO GH12号」「GH15号」用の吊金具はポリカーボネートでつくられている。ポリカーボネートは軽量なので取付部の負担が少なく、価格も抑えられる。耐久性では、ステンレスと比べても遜色ない。しかし開発段階で、「金物をポリカーボネートにするのは”タニタらしい”のか?」と社内意見が出たそうだ。
 
タニタでは、開発会議に 開発、製造、マーケティング、営業担当が出席し、お互いの立場から知見を交わしながら方向性を決めていく。金属で吊金物を作ったほうがよいという意見がある中で、どのようにしてポリカーボネートの吊金物に落ち着いたのだろうか。
 

「HACO GH15号」軒といの耳部に折板屋根用の吊金具を取り付けたところ。


開発リーダーの飯島さんは、ポリカーボネートのメリットとデメリットを、資料と共にプレゼンしたそうだ。
 
ポリカーボネートは、日本では1990年半ばあたりから、二十数年、塩ビ雨といでの採用を起点にさまざまな分野で活用されてきた。海外では、商用化されて六十年近く経つ。
 
耐熱性・耐圧性・曲げ強度に優れた「エンジニアプラスチック」の中でも、強度、耐衝撃性、耐熱性、難燃性、寸法精度において高い性能を安定的に示すポリカーボネートは、樹脂素材でありながら、軽量で安価であることが大きなメリットだ。故に、住宅資材だけでなく、繊細な人工臓器や、過酷な環境下におかれる旅客機の客室窓、特殊部隊が使用する防弾バイザーなどにも使われている。
 
以前は、耐薬品性や耐候性において改善が必要であったが、雨とい用に高耐候性グレード仕様にしたり、残留応力除去処理を施すことで、雨とい部材として使用される際のデメリットを解消し、市場実績 も積み上げられている状態だった。
 
そうして、素材としての最適性と、吊金物が外からほとんど見えないデザイン性を兼ね備えながら、さらにタニタらしさよりも価格を優先することとして、リリースを行った。営業サイドからも不満は上がらなかったという。
 

耐候性が高く、テクスチャ―にこだわったガルバリウム素材

 

「HACO GH15号」の表面写真。


HACOシリーズをはじめとするタニタのガルバリウム製品の表面は、 ちりめん皺のようなマットな表情が特徴。この表情は、塗装を短時間で焼き付けた際、表面側と素地側での硬化速度の違いにより生まれるもの。 「ちぢみ塗装」と呼び、深みのある質感が好評だ。
 
タニタのガルバリウム雨といは全てにおいて、 耐久性・耐候性の高い、テクスチャーにこだわった塗装を施している。同社ではガルバリウムの屋根・外壁の外装材も製造していますが、雨といとそれらとでは塗装を変えている。それは雨水にさらされる特性からなのだが、そのあたりは次回にご紹介したいと思う。
 
HACO15号 製品情報
https://www.tanita-hw.co.jp/product/md2-sid107.html
 
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|ごあいさつ

 新たなコンテンツ「プロダクツレポート」のレポーター 松尾絵美子です。
 この「プロダクツレポート」は、タニタハウジングウェアの製品情報を広告・広報ではなく、現場・現物取材からレポーターの目で客観的に伝え、メーカーと採用者の橋渡し役になればと願うものです。興味を持ってお読みいただければ幸いです。 
 
松尾絵美子