このコーナーでは、建築家たちによる「雨のみち」のディテールをその図面とともに公開していきます。どのようなポイントをに配慮しながら、建築家たちは雨と建築の間で考え続けてきたか。その思考とアイデアを図面とコメントによってアーカイブ化していきます。(※図面をクリックすると大きく表示されます。テキストと図面を行き来しながらお楽しみください。)

#01-1 松川ボックス



小庇もかねるキャットウォークのような雨どい

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・竣工年/敷地:1972年/東京都新宿区
・設計者:宮脇檀(担当:石田信男)
・雨仕舞種別:開放樋
・素材:コンクリート、モルタル


僕が宮脇檀さんの事務所に勤めていたときに担当した「松川ボックス」という住宅は、新宿区の住宅密集地域に建つ住宅です。敷地の三方を木造住宅に囲まれた敷地に、中庭をはさんで母屋と付属の大小2つの書庫をコンクリートの箱を向かい合わせてつくりました。


ここで紹介するのは母屋の雨どいです。母屋の居間から中庭へと延長された空間をつくりたかったので、その開口部には縦どいをつくりたくありませんでした。さらにメンテナンスや雪の対策を考えるとオープンな樋にしたかった。そこで、図面を見るとわかるように、こんなにも広いキャットウォークのような雨樋をつくったのです。写真を見てもわかるように、この雨どいは大開口部の小庇としても機能しています。


因みに一見、普通のコンクリートに見えますが、圧密コンクリートを水セメント比を絞り込んでつくることによって防水コンクリートをつくりだしています。この雨どいのディテールは、まさにこの住宅のみのものですが、今でも非常に思い出深い雨どいなのです。

図面やテキストに関する感想、質問などがあれば、是非書き込みください。後日、建築家の方からも解答いただく予定です。

#01-2 大師の町家



基本はメンテナンスのし易さ。そして、遊び心も!

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・竣工年/敷地:1986年/東京都
・設計者:石田信男
・雨仕舞種別:開放樋
・素材:コンクリート


 ここで紹介する住宅「大師の町家」の雨落しの事例は、ちょっと遊び心も取り入れたものです。まず屋根で受けた雨水が二階部分を下りると、1平米程度のコンクリートの受け皿に一度水が溜まります。そこから地上まで2つの縦どいをつくりました。


 メインとなる縦どいは、一本の溝形鋼を使っています。施主からは目詰まりのないオープンな雨どいにしてほしいという要望があったので、試行錯誤の上、このような詰まらない雨どいをつくりました。これ(写真左)が、実際に使用した溝形鋼の材料で、図面のように溝形鋼を取り付けています。実際に立てて水を垂らしてみて、どのように水が伝うかを何度かテストしました。見た目にはクローズだけど、外側からもメンテナンスがしやすい。このディテールは、他の住宅でも採用しています。

 もう一つの縦どいは、雨水の受け皿の下にもうけたものです。図面の中の写真で見ることができますが、キャップをあけるとジャジャジャと水が出るわけです。さらにといは地面まで延ばしていません。途中でぶった切り、その真下に石の桶を設置して雨水そのものを目や音でも楽しめるようにしています。(こういう桶は蚊を発生させやすいが、桶の中を砂利で埋めることで、蚊の発生をおさえることができる。)このような縦といを下まで持っていってしまうと、とてもやぼったくなりますよね。昔携わった「愛知県立芸術大学」の設計でも同じような試みをしています(写真左)。



略歴


石田 信男(いしだ・のぶお)


1941年、東京都生まれ。1964年、工学院大学卒業。1964年〜、田中設計事務所勤務。1968~69年、東京芸術大学と吉村設計事務所による愛知県立芸術大学設計計画に参加。1969年〜、宮脇檀建築研究室勤務。1976年、石田信男設計事務所設立。


<もし、よろしければ一言でも感想をいただけますと大変嬉しいです!(編集部一同)

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